台湾・高雄にある紅毛港保安堂について紹介します。
日本の軍艦と軍人が祀られている廟の由来とエピソードを分かりやすく解説します。
この記事の概要
紅毛港保安堂の見どころと感想
紅毛港保安堂はどんなところ?
台湾・高雄にある紅毛港保安堂は、旧日本海軍の第38号哨戒艇とその艦長である髙田又男艦長が御神体として祀られている廟です。この廟の由来とエピソードは諸説あるようですが、概ね以下のようにまとめられます。
由来とエピソード
第二次世界大戦後の1946年、当時、紅毛港の漁民が漁網に掛かった頭蓋骨を「海府尊神」として祀り供養したところ、大漁が続いたことから信仰されるようになり、1953年に保安堂が建立されました。
長らく、頭蓋骨の人物が誰であるかは不明のままでしたが、後に、沖合で漁をしていた漁師の夢枕に、頭蓋骨の主であるという日本軍人の格好をした人物が現れ、「私は38号軍艦の艦長である。部下を日本に連れて帰ることができなかったのが無念であるので祀って欲しい」というお告げがあったのだそうです。
この段階ではまだ確証は得られていなかったものの、手を合わせれば魚が大量に捕れると信仰していた信者たちは、この話をきっかけに頭蓋骨をさらに手厚く扱うようになっていったと言います。しかし、38号軍艦がどんな艦船で乗組員が何人いたかということは数十年間誰にも分からないままでした。
判明した事実
この疑問が解けたのは2018年のことです。保安堂の関係者がインターネット上で機密解除されたばかりの戦時中の資料を発見します。その『蓬38号哨戒艇戦時日誌』によれば、38号軍艦とは1944年11月に台湾南方沖でアメリカ軍の魚雷によって撃沈された第38号哨戒艇であり、その艦長が髙田又男艦長であると判明したのです。
もちろん科学的に証明できるものではないでしょうが、その可能性が極めて高いと結論付けられ今日に至っているようです。戦没者全員の名前が判明した2018年には145人全員の魂を海から引き上げる儀式が執り行われ、2023年には髙田又男艦長のご長男である鳴海氏が神様の息子として保安堂を訪れています。
紅毛港保安堂へのアクセス(行き方)
MRT紅線草衙駅、2番出口から徒歩約25分程度。
MRT紅線草衙駅からタクシーで約8分程度。
紅毛港保安堂があるのは高雄国際空港の近くで、最寄り駅の草衙駅は高雄国際機場駅の隣の駅です。
見どころ・感想
こちらが保安堂の外観になります。
青い瓦屋根は日本海軍を意味していると言い、菊の紋章や富士山の絵など日本をイメージさせる意匠が随所に見られます。
そしてこちらが保安堂の拝殿になります。
拝殿では朝と夕方には軍歌が流れます。
「海府大元帥」と呼ばれ祀られている髙田又男艦長。
髙田又男艦長の像。
こちらは神艦として安置されている全長約2メートルの38にっぽんぐんかんです。
信者たちが軍艦の乗組員たちが日本に帰ることができるようにとの思いを込めて作ったものです。
拝殿内には立派な神輿を背景に記念撮影できる場所も用意されていました。
ここ保安堂は決してメジャーな観光スポットというわけではありませんが、1日数名の日本人の方が参拝に訪れるようです。
2022年には、保安堂の敷地内に故安倍晋三元首相の銅像が建てられてことでも知られています。
以下の記事では、安倍元首相の銅像が建てられることになった背景や、保安堂へのより詳細な行き方などについて紹介しているので合わせてご参照ください。
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紅毛港保安堂の基本情報
紅毛港保安堂の場所の地図は以下の通りです。
住所 | 高雄市鳳山區南成里國慶七街132號 |
電話 | +886 7 796 6198 |
営業時間 | 5:00~21:00 |
HP | https://www.facebook.com/king077966198/ |
おわりに
以上、高雄・紅毛港保安堂についての紹介でした。
高雄へ行った際には訪れてみてはいかがでしょうか。