今回は、『月はどっちに出ている』(1993年)という映画について紹介します。
『フィリッピーナを愛した男たち』でちょっと興味を持ったフィリピン人女優ルビーモレノが出演しているということで見てみましたがその演技はなかなか強烈でした。
映画自体もとてもいい映画だったので感想を交えて紹介したいと思います。
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この記事の概要
月はどっちに出ているの作品情報
タイトル | 月はどっちに出ている |
公開 | 1993年 |
監督 | 崔洋一 |
原作 | 梁石日『タクシー狂操曲』 |
作品紹介 | 梁石日の自伝的小説が原作の在日社会を背景にした作品ですが難解な描写は無く日本で生きるマイノリティたちの日常をコミカルかつ軽快なタッチで描いています。 |
月はどっちに出ているの動画配信情報
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Hulu |
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Netflix |
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(※配信情報は2020年3月時点のものです。)
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月はどっちに出ているの登場人物(キャスト)
姜忠男/神田忠男(岸谷五朗) | 在日コリアン(北朝鮮籍)のタクシードライバー。女を口説くことに夢中。 |
コニー(ルビーモレノ) | 忠男の母が経営するパブで働くフィリピーナ。おかしな大阪弁を喋る。 |
忠男の母(絵沢萠子) | フィリピンパブを経営しながら祖国に送金する。 |
金世一/金田世一(小木茂光) | 在日コリアンの忠男の元同級生で忠男が働くタクシー会社の社長。 |
朴光洙/新井光洙(遠藤憲一) | 在日コリアンの忠男の元同級生。 |
ホソ(有薗芳記) | 忠男の同僚のタクシードライバー。「おらァ、朝鮮人は嫌いだ。でも忠さんのことは好きだ。一瞬、金貸してくれよォ」が口癖。 |
安保(金田明夫) | 忠男の同僚のタクシードライバー。新入りで方向音痴。 |
月はどっちに出ているのストーリー(あらずじ)
タクシードライバーの在日コリアン忠男は、ある日、日本語が出来ることを見込まれて母親が経営するパブにチーママとして働くことになったフィリピーナのコニーと出会う。
おかしな大阪弁を喋るコニーに興味を持った忠男は、必死に口説き、勝手に家まで押しかけ同棲をはじめてしまう。
一方、忠男の周りでは、同じタクシー会社の従業員たちや、朝鮮学校の元同級生とヤクザたちがドタバタ劇を繰り広げる。
月はどっちに出ているの感想や見どころ
ここからは少しネタバレになります。
見どころはルビーモレノ!
この映画の見どころのひとつは間違いなくルビーモレノです。大阪弁を操りたくましく生きるフィリピン人女性コニー役で躍動しています
岸谷五朗演じる忠男との「儲かりまっか」「ボチボチでんなあ」の掛け合いに始まり「ぼけなす」「あほんだら」「死んでしまえ」と毒づく姿は痛快です。
真面目ぶって神妙な面持ちで落としにかかる忠男に対し「口説いとんのかそれ」と一蹴したかと思えば、少ししんみりとした別れの場面では「嘘のひとつもこかんかいな」と文句を垂れて見せたりと思わず笑いを誘うようなシーンも随所に見られました。
『フィリッピーナを愛した男たち』では、ただ日本語をが出来るフィリピン人女性という以上の演技は十分に見せていたものの特別印象に残りませんでしたが、この映画の中では強烈な存在感を放っています。
この年の各映画賞を総なめにしたというのも納得の演技です。
他の出演陣も好演
そのコニーの恋人役で在日コリアンの忠男を演じる岸谷五朗も相当格好いいです。
自身の出自など女を口説くときの話のタネぐらいにしか思っておらず、祖国、南北統一と騒がしい周囲のことなどどこ吹く風でふらふらと生きる軽さを上手く表現しています。
そのほかにも主人公の脇を固めるあくの強いキャラクターを演じる俳優陣も見事です。
「おらァ、朝鮮人は嫌いだ。でも忠さんのことは好きだ。一瞬、金貸してくれよォ」が口癖で忠男にまとわりつくパンチドランカーのホソ(有薗芳記)や、「自分は今どこにいるのでありましょうか」とタクシー会社にいつも電話をかけてくる方向音痴の新米ドライバー(金田明夫)は物語にアクセントを付けています。
またヤミ金融屋の元同級生を演じる遠藤憲一さんもこの時から今と変わらぬ安定感でしたしワンシーンだけ出ている萩原聖人もいい感じです。
映画自体も素晴らしい
この『月はどっちに出ている』はキネマ旬報の1990年代日本映画ベスト・テンの第1位に選ばれています。
弱者として描かれがちであった在日コリアンを生き生きと描いた点や、重くなりがちなテーマを自らも在日である監督がアイロニーも込めて滑稽にひたすら軽く描いた点が評価されています。
後に続く在日を題材とした映画の先鞭をつけた作品としても位置づけられるようですね。
ただ、こうした評価や位置づけなどを抜きにしても単純に面白いし素晴らしいと思える映画でした。
おわりに
この映画の評価 |
もともと評価の高い作品だということは知っていましたがなるほど素晴らしい映画でした。
描写はある意味淡々としているし分かりやすいストーリーというのもないので万人に刺さるかどうかは分かりませんが個人的には大好きな1本となりました。
見どころはとにかくルビーモレノです。ルビーモレノについては日本語が少し話せるフィリピン人女優ぐらいのイメージしかありませんでしたが、そのイメージを見事に覆す圧巻の演技でした。
映画の中で飄々と生きる彼女の姿を是非見てもらいたいです!
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