【書評】ルビーモレノ『銀色の月』に見る1人のフィリピーナの壮絶な半生

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今回は、ルビーモレノの『銀色の月』という本について紹介します。

フィリピン人女優ルビーモレノが28歳の時にその生い立ちや半生を綴った自叙伝です。

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書籍情報

タイトル 銀色の月
著者 ルビー・モレノ
出版年 1994年
出版社 ぶんか社

目次

本の目次

  • 第一章 一八歳のじゃぱゆきさん
  • 第二章 銀色の月―一九歳の誕生日
  • 第三章 離婚
  • 第四章 天使の理珠
  • 第五章 ルビーちゃん、水割り
  • 第六章 ボクはママの子なんだから
  • 第七章 私と母の懸橋
  • 第八章 あとがきにかえて

本の内容紹介と感想

概要

この本は「28歳の履歴書、女として、母として。」とカバー表紙のキャッチコピーにあるように28歳のルビーモレノがこれまでの半生を綴った自叙伝です。

芸能界での仕事の様子などはほどほどに、日本人との結婚や夢に描いた結婚生活とその破綻、フィリピンに残した家族、そしてとりわけ日本人との間にもうけた二人の子供への想いが赤裸々に語られています。

壮絶な半生

彼女の人生は本当に波乱万丈そのもの。

1983年18歳で「じゃぱゆきさん」として初めて日本に来て以降、二人の日本人男性との結婚・出産・離婚、親権の問題による子供との別れ(1人目の子)、脳に障害を持つ子供の子育て(2人目の子)と、20代までにこれだけ経験するのも凄いです。

そんな中、当時から今に至るまでの所属事務所社長に誘われてはじめたエキストラ・タレントの仕事をきっかけに、ドラマ『愛という名のもとに』(1992年)や映画『月はどっちに出ている』(1993年)などへの出演で女優として脚光を浴びていくことになるのです。

そんな女優として注目され始めた折りに、経歴を偽っていたこと(結婚歴があることや子どもがいること)をマスコミに嗅ぎつかれ記者会見を行うことになります。

そのときの様子をこう綴っています。

私は、自分がじゃぱゆきだったことも、離婚をしたことも、これまで少しも恥ずかしいと思ったことはありませんでした。しかし、多くの人に問い詰められると、一枚一枚着ているものを人の前で脱がされていくような惨めな思いになり、自分がどんどんちっぽけな存在になっていくのがわかりました(p.14)。

リアルタイムの様子は知らないので当時の反応がどういうものだったのかは分かりませんが、中には共感を呼ぶ声も少なくなかったようです。

この記者会見の翌年、ドタキャン騒動を起こし日本の芸能界からはしばらく姿を消すことになります。

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母としての眼差し

この本を読み進めながら浮かび上がってくるのは女優としてのルビーモレノというよりも母親としてのルビーモレノです。

二人の子供の母親となりながらも、離婚と親権の問題で手放さざるを得なかったり、持って生まれた障害のため自由に話すことができなかったりと、自分の子供を育てながら暮らすことができない境遇ゆえに一際子供たちへの想いを強くしているのが伝わってきます。

時には夫に内緒で子供を連れてフィリピンに帰ったり、子供に会いたいがために日本に戻ってきたりと頭の中では常に子供のことを一番に考えていたようです。

自分の境遇を恨むこともあったという時に、神父から授けられた次の言葉によって心の整理がついたとされています。

この子はハンデキャップを持っています。なぜ神様はルビーにこの子を授けたのでしょう。それは、ルビーがとても強い人だからです。神さまはそのようなルビーを選ばれてリズを授けられたのです。その御恵みに感謝しましょう(p.124)。

辛い経験をたくさんしながらも子供たちへの想いが日本で生きていくことの原動力になっていたのでしょうね。

印象に残った言葉

 あるとき、関西のテレビ局のバラエティ番組に出演したことがあります。その中で、人生相談のコーナーがあり、私はゲストとして相談を受けることになりました。
相談は、女の子が男の子にフラレて悩んでいるというようなものでしたが、私の答えはたったひとつ。
「そんな男なんかアテにせんと、はよう別な男を見つけたほうがいいで。それがでけへんのなら、男なんかいらん。ひとりで生きていったほうがサッパリするわ。男を信用するほうがアホや」
『月はどっちに出ている』で覚えた大阪弁でそう言うと大いにウケたものです。とにかくなんでも前向きに考えていればなんとかなるというのがフィリピン人の性格なのです。
私は機会があったら『フィリピン人女性との上手な付き合い方』という本を書きたいと思っているくらいです。あるいは『フィリピン人女性との結婚生活の手引き』でもかまいません。なにしろ、二六歳までに二度も離婚を経験しているのですから、失敗しない方法はいくらでも知っています。
『月はどっちに出ている』のコニーの台詞ではありませんが、「もうかりまかっか」と聞かれたら「ぼちぼちでんなぁ」と答えるのがちょうどいいのです。
「ぼちぼち」とは、お風呂ならちょうどいい湯加減。熱過ぎずぬるくもなくということでしょう。そういう程度で生きていく。私もそんな生き方ができたらと思っています(p.184-185)。

『月はどっちに出ている』で演じたコニーの逞しさは自身の人生経験から来るものも多分にあるのだと思わせられる言葉です。

おわりに

『フィリッピーナを愛した男たち』や『月はどっちに出ている』を見て突如として興味を持ってしまったルビーモレノの生い立ちや半生を知るのにはぴったりの本でした。

ルビーモレノについてネットで簡単に検索したぐらいだと、わがままなお騒がせタレント的なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、本書に登場する苦労話や真摯な思いに触れればまた違った印象が生まれるかもしれません。

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