カンボジア・シェムリアップ近郊にあるプリアコーについて紹介します。
聖なる牛ナンディンが見守るヒンドゥー教寺院です。
プリアコーの見どころと感想

プリアコーはどんなところ?
プリアコーは、シェムリアップ近郊のロリュオス遺跡群にある9世紀のヒンドゥー教寺院です。インドラヴァルマン1世によって建立され、880年1月25日に祖先を祀る寺院として奉献されました。境内の中心には、レンガ造の祠堂6基が前後2列に3基ずつ並び、前列中央の祠堂はクメール王朝の基礎を築いたジャヤヴァルマン2世に捧げられています。
主神はシヴァで、祠堂の正面にはその乗り物である聖牛ナンディンの像が置かれ、「プリアコー(聖なる牛)」という現在の名称の由来にもなりました。赤いレンガの塔身には、かつて白い漆喰装飾が施されており、現在も一部に繊細な意匠が残ります。砂岩製のリンテルや偽扉、守護神像などの彫刻も見どころで、のちのアンコール建築へ続く初期クメール建築の特徴をよく伝える遺跡です。
プリアコーへのアクセス(行き方)
ロレイからタクシーやトゥクトゥクで約5分程度。
見どころ・感想
東側からプリアコーの境内へ入ると、木々に囲まれた参道の先にレンガ造の祠堂群が見えてきます。

訪問時は修復作業中でしたが、中心軸に沿って建物が配置された寺院全体の構成を、まずは遠くから確認することができます。
そのまま参道を進むと、崩れたレンガ壁や砂岩の部材が残る遺構の間を抜けて、中心部へと近づいていきます。

左右には砂岩製の細い欄干子を並べた窓も残り、レンガだけでなく砂岩を組み合わせて造られていたことが分かります。
中心部へ向かう途中には、第二周壁の南東側に残るレンガ造の建物があります。

一般に「経蔵(library)」と呼ばれている建物で、プリアコーでは主祠堂以外の建築も部分的に残されています。ただし、「経蔵」という呼称は便宜的なもので、本来の用途については確定していません。
さらに奥へ進むと、寺院の中心となる6基の祠堂が並ぶ区画に到着します。

写真では修復用の覆いや足場で一部が隠れていますが、中央に立つレンガ塔を中心に祠堂が並び、その手前には石造の牛の像が置かれているのが見えます。
その牛の像が、ヒンドゥー教のシヴァ神の乗り物であるナンディンです。

プリアコーの主祠堂前にはもともと3体のナンディン像が並び、祠堂の方向を向いていました。「Preah Ko=聖なる牛」という寺院名も、このナンディン像に由来しています。
ナンディン像の先にある祠堂へ近づくと、赤いレンガの壁に対して、入口まわりだけが精緻な砂岩装飾で仕上げられているのがよく分かります。

プリアコーの祠堂はかつて表面を白い漆喰装飾で覆われており、現在も部分的にその繊細な装飾が残されています。
入口脇には、武器を手にした男性の守護神像ドヴァラパーラが彫られています。

前列の祠堂にはこうした男性の守護像が配置されており、レンガ壁から浮かび上がるように造られた細かな衣装や装身具まで確認できます。
視線を入口の上へ移すと、砂岩製のリンテルには人物や神々、植物を思わせる文様が複雑に絡み合うように刻まれています。

プリアコーはこうしたリンテル彫刻の保存状態が比較的よく、9世紀のクメール美術の高い装飾技術を間近で見ることができます。
隣の祠堂へ回ってみると、レンガ造の塔身と砂岩で造られた入口部分との違いがさらに鮮明です。

入口の両脇には人物像を収めた龕(がん)が設けられ、上部には植物文様を主体としたリンテルが残るなど、塔ごとに細かな装飾を見比べながら歩くことができます。
祠堂の側面には、実際には開かない偽扉も設けられています。

扉面には細かな文様がびっしりと彫られ、その左右にも人物像が配されており、正面入口だけでなく建物の側面まで丁寧に装飾されていたことが分かります。プリアコーでは、この砂岩彫刻とレンガ造の塔身の組み合わせも大きな見どころです。
プリアコーの基本情報
プリアコーの場所の地図は以下の通りです。
| 住所 | Angkor Archaeological Park, Krong Siem Reap |
おわりに
以上、プリアコーについての紹介でした。
シェムリアップに行った際には訪れてみてはいかがでしょうか。
合わせて読みたい