カンボジア・シェムリアップ近郊にあるロレイについて紹介します。
かつて巨大貯水池の島に築かれたヒンドゥー教寺院です。
ロレイの見どころと感想

ロレイはどんなところ?
ロレイは、シェムリアップ近郊のロリュオス遺跡群を構成する、9世紀末のヒンドゥー教寺院です。ヤショーヴァルマン1世によって893年に建立され、父インドラヴァルマン1世をはじめとする祖先に捧げられました。かつては父王が築いた巨大貯水池インドラタターカの人工島に建っており、周囲を水に囲まれた寺院だったと考えられています。
現在は貯水池の水は失われていますが、境内には4基のレンガ造りの祠堂が残り、砂岩を用いたリンテルや扉枠、神像などの繊細な装飾を見ることができます。また、扉枠には建立年代や寺院に仕えた人々などを伝える重要な碑文も残されています。ロリュオス遺跡群の中では比較的小規模ながら、アンコール初期の寺院建築と王家の祖先崇拝を知るうえで興味深い遺跡です。
ロレイへのアクセス(行き方)
オールドマーケットからタクシーやトゥクトゥクで約30分程度。
見どころ・感想
ロレイの入口では、現在は見学用に設けられた木製の階段を上って寺院へと向かいます。

ロレイはかつて巨大な貯水池インドラタターカの人工島に築かれており、今では周囲から水は失われていますが、かつては舟で島へ渡り、ここから寺院へ上っていった往時の景観を想像させる場所です。
階段を上がると、広い基壇の上にレンガ造りの祠堂が姿を現します。

ロレイにはもともと4基の祠堂が築かれ、ヤショーヴァルマン1世の父母や祖父母など王家の祖先に捧げられました。現在は損傷した部分も多いものの、正面から見ると高く積み上げられたレンガの塔と、入口を飾る砂岩彫刻がよく分かります。
祠堂の入口上部に目を向けると、砂岩に精緻な彫刻を施したリンテルが残されています。

中央に描かれているのは、天空神インドラを乗せた三頭の象アイラーヴァタ。象の三つの頭を中心に、ナーガや植物文様などが左右へ複雑に広がり、ロレイに残るプリアコー様式の彫刻の完成度の高さを間近で見ることができます。
祠堂のレンガ壁には、砂岩で彫られた女性像がはめ込まれています。

これは祠堂を守るデバター(女性の守護神像)で、ロレイでは女性の祖先に捧げられた西側の祠堂にこうした女性像が配置されています。冠や腰布、身体の輪郭まで丁寧に彫り込まれており、千年以上を経た現在も保存状態のよい彫刻を見ることができます。
入口周辺では、石の表面を埋め尽くすように刻まれた碑文も見ることができます。

ロレイの扉枠には保存状態のよいクメール語の碑文が残り、寺院が893年に奉献されたことや、当時の祭祀、寺院に仕えた人々などを知る重要な資料となっています。文字そのものの美しさも高く評価されている、ロレイを代表する見どころのひとつです。
祠堂の中へ目を向けると、レンガ壁に囲まれた薄暗い空間の中央に石製の台座が残されています。

ロレイの各祠堂は王家の祖先を神格化して祀るための聖域で、内部にはかつてそれぞれの祭神像が安置されていました。現在は像そのものは失われていますが、残された台座から往時の祭祀空間の姿を想像することができます
祠堂群の中央付近には、四角い石柱の上に蓮の蕾を思わせる形を載せた珍しい石造物も残されています。

その用途は明確には分かっていませんが、チャイティヤに似た形を持つ一方、周囲には四方向へ延びる排水設備があり、リンガを用いた水の祭祀と関係した可能性も指摘されています。何気ない石造物ですが、ロレイの宗教儀礼を考えるうえで興味深い遺構です。
祠堂群から少し離れた場所では、地中から姿を現したレンガ敷きや基礎部分を見ることができます。

ロレイでは近年も考古学的な調査が進められ、祠堂を囲んでいた壁や入口となるゴープラなど、現在地上からは分かりにくい建造物の痕跡が確認されています。写真の遺構そのものの用途までは断定できませんが、現在見えている4基の祠堂以外にも建築群が広がっていたことを実感できる場所です。
ロレイの基本情報
ロレイの場所の地図は以下の通りです。
| 住所 | 9X3F+6VH, Prasat Bakong |
おわりに
以上、ロレイについての紹介でした。
シェムリアップに行った際には訪れてみてはいかがでしょうか。
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