今回は、『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』(2018年)という映画について紹介します。
3名の監督が日本とフィリピン、マレーシア、カンボジアを行き交う人たちの姿を描く短編オムニバス映画です。
この記事の概要
アジア三面鏡2016:リフレクションズの作品情報
タイトル | アジア三面鏡2016:リフレクションズ |
公開 | 2018年 |
監督 | ブリランテ・メンドーサ、行定勲、ソト・クォーリーカー |
作品紹介 | 3名の監督が日本とアジアを行き交う人たちを描くオムニバス映画です。 |
アジア三面鏡2016:リフレクションズの動画配信情報
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(※配信情報は2020年6月時点のものです。)
上記代表的な動画配信サービスで『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』の配信はありません。
現在、新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増えている状況を受け、国際交流基金アジアセンターが2020年6月30日までの期間限定で無料配信しています。
公式サイト オムニバス映画『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』を期間限定無料配信 | 最新ニュース | 国際交流基金アジアセンター
アジア三面鏡2016:リフレクションズの各作品のあらすじ・感想・見どころ
ここからは少しネタバレになります。
『SHINIUMA Dead Horse』
第1話はフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督による『SHINIUMA Dead Horse』です。ブリランテ・メンドーサ監督は以下のような批評性のある作品を撮ることでも知られています。
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『SHINIUMA Dead Horse』は北海道の牧場で30年不法就労していたフィリピン人の男の話。馬の世話をしていた牧場にやって来た入国管理局の担当者に捕まりフィリピンに強制送還される。故郷の村にあった家は災害でなくなり家族はいなくなっていた。友人を頼って訪れた競馬場で足を折った馬が安楽死させられる姿と日本で落馬し足を悪くした自分の姿を重ね合わせる。
メンドーサ監督らしいドキュメンタリータッチのリアルな描写でフィリピンにおける海外就労者の問題の一側面を描いています。改めてこの監督は凄いなと感じさせられました。
『鳩 Pigeon』
第2話は日本の行定勲監督による『鳩 Pigeon』です。
マレーシア・ペナン島で現地のヘルパーに付き添われながら暮らす日本の老人(津川雅彦)の話。息子(永瀬正敏)は月に一度日本から様子を見に来るだけですぐに帰ってしまう。老人は新しくやって来たヘルパーの一人と次第に心を通わせていく。老人はそのヘルパーの手を借り兄たちが戦死した海へ行き屋上で飼っていた鳩を空に放つ。
2018年に亡くなられこの作品が映画としての遺作となった津川雅彦さんの演技が光ります。渾身の殺陣を演じてチンピラに絡まれたヘルパーを助けるシーンなどは迫真ものの名演です。全3話の中ではこの作品が一番見応えがありました。
『Beyond The Bridge』
第3話はカンボジアのソト・クォーリーカー監督による『Beyond The Bridge』です。同監督には『シアター・プノンペン』という日本公開作品もあります。
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『Beyond The Bridge』はカンボジア日本友好橋の修復に携わった日本人(加藤雅也)の話。彼は修復した橋の上でかつてカンボジアで過ごした日々を回想していた。彼にはカンボジア人の恋人がいた。二人は結婚して日本で暮らそうと約束をしていたが内戦の混乱の中で生き別れになっていた。
金繕いという日本の伝統的な修復技法の話が出てきます。これは陶磁器等の破損部分を目立たないように隠すのではなく金を塗って装飾する技法です。この話を持ち出すことで主人公の男が過去の傷を大切に抱えて生きる姿や、カンボジアは辛い過去に目をつぶることなくしっかりと向き合い理解していくべきだという監督の想いが描かれています。
おわりに
この映画の評価 |
以上、今回は、『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』という映画についての紹介でした。
それぞれ舞台となる国が異なり監督の個性が色濃く出ているものの、タイトルに「リフレクションズ」とあるよう3作とも過去の回想がテーマとして根底にあるため不思議とまとまりのある作品でした。