シェムリアップにはカンボジア内戦を取材中に命を落としたカメラマン一ノ瀬泰造のお墓があります。
この記事では、アンコールワットの遺跡めぐりのルートに組み込んで一ノ瀬泰造のお墓に行く方法について解説し、実際にお墓を訪れたときの様子を紹介したいと思います。
一ノ瀬泰造とは?
一ノ瀬泰造のプロフィールは以下の通りです。
生年月日: 1947年11月1日
没年月日: 1973年11月29日(26歳没)
学歴: 日本大学芸術学部写真学科卒
通信社に勤務後、フリーの戦場カメラマンとして、インド・パキスタン戦争やベトナム戦争を取材。
内戦中のカンボジアのアンコールワットへの潜入を目指すなか、遺跡を支配下においていたクメールルージュに捕まり命を落としています。
著書『地雷を踏んだらサヨウナラ』(講談社)で、取材中、友人に宛てた手紙のなかでの次の印象的な一文が非常に有名です。
一ノ瀬泰造のお墓の場所と行き方
一ノ瀬泰造のお墓があるのは遺体が発見されたとされるプラダック村(Preah Dak village)という場所になります。
自転車やバイクをレンタルして自力で行くという方法もありますが、自分は自力で行ったことはありませんし、外国人旅行者が行くような場所ではないのでけっこう難易度が高くあまりおすすめできません。素直にトゥクトゥクで行くのがいいと思います。
カンボジア人の間でも一ノ瀬泰造は知られているため、プラダック村などと難しい場所の説明はしなくても「タイゾー!タイゾー!」と言えばだいたいのドライバーには伝わるはずです。もし、分からないドライバーだったら、トゥクトゥクのドライバーが集まっている場所に行って「タイゾー!」といえば誰かは知っている可能性が高いです。
また、トゥクトゥクなどでお墓だけ行くというのも別にありですが、街の中心から少し距離もあるため時間とお金が余計にかかってしまうので、おすすめなのは、アンコール遺跡巡りのルートに組み込むというものです。個人での遺跡観光の際は、多くの場合トゥクトゥクをチャーターして行くことになると思いますが、最初に交渉するときにお墓に行ってもらうように伝えておくといいと思います。
では、具体的なルートなどについて説明すると、アンコール遺跡めぐりのルートはよくいう大回り、小回りとありますよね。
アンコール・ワット(Angkor Wat)
アンコール・トム(Angkor Thom)
プリアカン(Preah Khan)
ニャック・ポアン(Neak Pean)
タ・ソム(Ta Som)
東メボン(East Mebon)
⇒ここに組み込むのがおすすめ
プレループ(Pre Rup)
アンコール・ワット(Angkor Wat)
アンコール・トム(Angkor Thom)
トマノン(Thommanon)
チャウ・サイ・テヴォーダ(Chau Say Tevoda)
タ・ケウ(Ta Keo)
タ・プローム(Ta Prohm)
バンテアイ・クディ(Banteay Kdei)
スラ・スラン(Srah Srang)
一ノ瀬泰造のお墓に行く場合は、大回りのルートで東メボンのあとに行くのがいいと思います。
以下の写真は、東メボンの周壁の四隅に立っているゾウです。
お墓は、東メボンから遺跡の観光コースを外にはずれて15分くらい行ったところにあるので、お墓に行ったあとまた通常の観光コースに戻ることができます。
もしくは、皆が訪れる場所ではないと思いますが、アンコールワットの北東約30㎞と少し離れた場所に位置するバンテアイ・スレイ(Banteay Srei)に行く際に立ち寄るのがよいかと思います。バンテアイ・スレイとセットで行ってもらうように交渉するというのも位置的に無駄がないと思います。
このようにアンコールワットの遺跡巡りに組み込むことで効率的に観光できるのではないかと思います。
一ノ瀬泰造のお墓の様子
それでは、実際に一ノ瀬泰造のお墓を訪れた際の様子を紹介したいと思います。お墓の入り口にはこのような案内が出ています。
お墓はこのちょっとした橋を渡った先にあります。
こちらが一ノ瀬泰造のお墓です。
「1973年11月 泰造ここに眠る」と書かれています。
お墓の横が小さな記念館となっています。
こちらは展示物ですが、だいぶ痛んでしまっていますね。
この辺りの土地の持ち主でお墓をつくったというコォン・トゥウンさん。
お墓の管理人の方は普段は農作業をされているのだと思いますが、日本人が参拝にやってくると、線香を準備してくれたり保管してある資料を出して見せてくれます。
書籍『地雷を踏んだらサヨウナラ』や『もうみんな家に帰ろうー!』などがありました。
参拝者の記帳ノートも見せてくれましたが、やはりここに来るような人はみな一ノ瀬泰造に特別な思い入れを持っている人が多いように感じました。何度かお参りに来ているという人が一人や二人ではありませんでした。
しかし、話によると、ここ数年は以前に比べて訪れる人も減ってきているのとのことでした。
映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」について
まだカンボジアを訪れたことがない頃、自分の中で何かアンコールワットへの強烈な憧れのようなものがありました。
それは間違いなくこの映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」の影響で、若かりし頃の浅野忠信さん演じる一之瀬泰造に胸を打たれたのを覚えています。
安川午朗さんの音楽も素晴らしく、カンボジア・アンコールワットを抜きにしても素晴らしい映画だと思います。
これからシェムリアップ・アンコールワットに行ってみようという方は、ぜひ書籍と合わせてこれらの作品に触れてから行かれることをおすすめします。